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◆ 異譚メルヘン第三話 『天国への道』 ◆


やがて役立たずは、小高い丘の上へたどりつきました。すると向こうから、年老いた醜い小人がやってきて「ごきげんよう、お嬢さん」とあいさつをしました。

そこで役立たずは「ありがとう、小人さん。でもあたし、ごきげんになんてなれっこないわ」と答えました。「だって、神さまがあたしをおつくりになったせいで、家族がたいへんな思いをしなければならないんですもの」。

「それで、これからどうするつもりだね」。

「神さまをたずねて、みもとに置いてもらえないか聞いてみるつもりよ。でも困ったわ、どうしたら天国へ行けるのかわからないの」。

それを聞いた小人は「なんだい、そんなことも知らないのかね」と笑いました。そして炎のように赤い色をしたパンを取りだすと「だったらこの聖体パンをやろう。こいつをみんなたいらげて、あとはただ眠っているだけでいい。目がさめたときには、ちゃんと天国についてるだろうさ」と言いました。

役立たずがおおよろこびでお礼を言うと、小人はパンを渡して去っていきました。そこで役立たずは、さっそくパンをたいらげると、丘の上によこたわりました。ところがしばらくすると、食べたパンがおなかのなかで燃えはじめ、とても眠るどころではなくなってしまいました。役立たずはパンをぜんぶ吐きだしましたが、おなかの火事は収まりません。するとそこへ、近くの川へ水くみに来ていたお百姓がとおりかかり、持っていた桶の水を役立たずに飲ませました。やがて桶がからっぽになると、おなかがはちきれそうになった役立たずは、また飲んだ水をすっかり吐きだしてしまいました。けれども、それでようやく火事は収まり、役立たずはふたたび起きあがれるようになりました。

わけを知ったお百姓は「こんなパンを食べたところで、天国へはけっして行けないよ。いいかい、もうこんなことをしてはだめだからね」と言いました。そういうわけで役立たずは、また天国へつづく道をさがして歩いていかなければなりませんでした。けれども、おなかのなかをすっかりやけどしてしまったせいで、もうミルクのほかにはなにも口にすることができませんでした。


著者:結社異譚語り
2008年11月24日ページ公開
2011年9月4日最終更新