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異譚メルヘン第三話天国への道


それから役立たず暗い森のそばへたどりつきましたすると向こうから年老いた醜い小人がやってきてごきげんようお嬢さんとあいさつをしました。

そこで役立たずありがとう小人さんでもあたしごきげんになんてなれっこないわと答えました。だって神さまがあたしをおつくりになったせいで家族がたいへんな思いをしなければならないんですもの」。

それでこれからどうするつもりだね」。

神さまをたずねてみもとに置いてもらえないか聞いてみるつもりよでも困ったわどうしたら天国へ行けるのかわからないの」。

それを聞いた小人なんだいそんなことも知らないのかねと笑いましたそして近くに建っていた赤い煙突のある小屋を指さすとだったら教えてやろうあの炭焼き小屋は煙突がつまってるんだがねなかへ入って窓と戸をしっかりしめたらかまどの炭に火をつけてあとはただ眠っているだけでいい目がさめたときにはちゃんと天国についてるだろうさと言いました。

役立たずはおおよろこびでお礼を言うと小人に別れを告げましたそしてさっそく小屋に入るとしっかりと戸じまりをして炭焼きをはじめましたすると小屋じゅうに煙がたちこめてあっというまになにも見えなくなりました役立たずは床によこたわりましたが息をするたびに煙を吸ってむせるのでとても眠るどころではありませんでしたするとそこへ斧をかついだ木こりがとおりかかり小屋の戸をこわしてなかへ入りましたそしてかまどに砂をかけたのでようやくあたりの煙が晴れ役立たずもまたむせずにすむようになりました。

わけを知った木こりこんな小屋で炭を焼いたところで天国へはけっして行けないよいいかいもうこんなことをしてはだめだからねと言いましたそういうわけで役立たずまた天国へつづく道をさがして歩いていかなければなりませんでしたけれどもあんまりたくさん煙を吸いこんだせいでもう口をひらいても醜くしわがれた声しか出てきませんでした。


著者結社異譚語り
2008年11月24日ページ公開
2011年9月4日最終更新